おねしょ(夜尿症)について

おねしょの生活上の注意点について

1.日常生活での注意点は?

おねしょを治すために、昔からさまざまな対策や方法が考えられてきました。現時点で医学的に効果が証明されている方法をお伝えします。
いままで経験的に行われてきた方法には、夜中にお子さまを起こしてトイレに行かせる、夜は水分を一滴も飲まないようにする、オムツをやめてパンツにするなどがありました。しかし、これらの方法は、やり方を間違えるとかえって悪影響になることがあります。また、他のおねしょサイトで推奨されている方法が、必ずしも全てのお子さまに当てはまるとは限りません。

大切(重要)なこと

1番目

夕食から就寝までの時間をなるべく空けること、出来れば3時間以上空ける事ができれば理想です。これは、食事や飲水で摂取した水分は約3-4時間ほど経過してから、尿として膀胱に貯まるからです。
夕食から就寝までの時間が十分に空けられると、就寝前のトイレでたっぷりとおしっこが出て、夜尿の回数や量が減少します。特に宿泊行事などで成功する場合は、宿泊中は夕食の時間が早いために上手くいっている可能性があります。
長年診療にたずさわってきた経験からも、最も効果がある方法です。

2番目

夕食時のお味噌汁やスープを止めること、夕食後に糖分を含んだデザートやヨーグルト、また果物(スイカやいちごなど)の摂取は控えることです。塩分はもちろんですが糖分、特に果糖などにも利尿作用があり、就寝すぐの夜尿に強く関連していると考えられています。夕食時の塩分を極力減らして、夕食後の甘いものをやめただけで,おねしょが改善したお子さんもいるほどですので,ぜひ実践してみてください。

3番目

寝付きの良い環境を作り夜更かしを避けましょう。午後9時頃にはベットに入る生活習慣を作ってください。朝はなるべく早く、出来れば6時に起床させる事です。夜尿症のお子さまは睡眠が深いだけでなく、本来睡眠が浅くなる明け方にかえって深くなってしまう特徴があります。
特に休日はなるべく寝させてあげたいのが親心ですが、平日と同じ時間に1度起こしてトイレで排尿させ、どうしても眠ければ再度寝る方法がよいです。
寝付きが悪く、寝起きも悪いのもおねしょのお子さんの特徴です。睡眠リズムを整え、寝付きや寝起きを良くすることでおねしょもずいぶんと改善されます。

最後に、夕食から就寝までの間はコップ一杯程度の水分に抑える事が大切です。飲み物は糖分やカフェインを含まない、お水や麦茶などが適しています。できればあまり冷たくない飲み物が理想的。さらに就寝前のおっしこを促すように、就寝前のトイレに行く直前にお水を一口飲ませてあげる事が大切です。特に夜間のおしっこの量が多いタイプのお子さまには、とても効果があります。

2.冬の寒さ対策について

おねしょの生活上の注意点として、冬の寒さ対策はとても重要です。冬は夏場と違って汗をかく量も少なくなり、さらに体が冷えることで膀胱の筋肉の緊張が高まり、おねしょが出やすくなります。
夏から秋にかけて、ほとんどおねしょが無かったお子さまが、寒くなる11月頃からおねしょが再び始まり、1月から2月の冬の間は、毎日出てしまうことも良くあります。
おねしょをするお子さまの特徴として、自律神経の働きが比較的弱く、手足や体がほてりやすい一方で、夜間や明け方にはとても冷たくなる体質があります。寒さが厳しい地域に居住されている方や、尿があまり貯められないような膀胱が小さいタイプのお子さんには、特に注意が必要です。
まずは、就寝前に体を充分暖めてからお布団に入るようにしましょう。そのためには、夕食を終えた後にお風呂に入り、比較的暖かめの湯船にゆっくりと浸かることが大切です。さらに体が暖まったら、冷えないうちにお布団に入るようにしてください。
また、あらかじめお布団を暖めておくことも必要です。布団乾燥機を用いたり、湯たんぽや電気毛布などで夜中から明け方の寒さを防ぐ工夫をしてください。
眠りにつくときに、体がほってって布団をはいでしまうお子さまには、深く寝入った後の0時から午前1時頃に湯たんぽを入れたり、電気毛布の電源をつけてあげるようにしてください。
体が冷えずに朝を迎えることが出来れば、おねしょの回数も確実に減っていくと思います。いずれも、ご家庭で簡単に出来ることばかりですから、今日から実践してみてください。

3.日中、特に午前中の水分摂取量を増やしましょう。

夜に何回もおねしょをする、昼間もおしっこが近い、おしっこを充分に貯めることが出来ないなど、膀胱が小さいと考えられるお子さまには日中、特に午前中に水分を沢山とって膀胱におしっこを貯める努力が必要です。具体的には午前中に500mL以上、午後4時ごろまでに同じ500mL、夕方からは200mL程度の水分摂取が理想的です。

トイレをがまんして出した尿量が25ml×(年齢+2)

例;6歳では=200ml以下、8歳では=250mL以下、10歳では=300mL以下であれば、同じ年齢のお子さんに比べて膀胱が小さい可能性があります。

日中の水分を沢山とって、少しづつおしっこのがまんが徐々に出来るようになれば、膀胱が大きくなったと判断できます。お子さまがやる気になって、おねしょをしないためには、膀胱容量は最低限200ml程度必要だと考えられていますので、毎日がんばって日中の水分摂取を増やしてみてください。

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