おしっこトラブルについて

大人の夜尿症

高校生や大学生を含む16歳以上の成人領域でも夜尿症が続いている場合、これを成人型夜尿症と呼びます。日本を含む世界中において、成人の夜尿症の正確な頻度は未だに不明確ですが、推定で100から200人に1人程度、夜尿が持続しているとされます。多くの成人の夜尿症の方は病院に行くことなく、また症状を周囲に話していないため、実際の患者数はもっと多い可能性があります。

夜尿症が持続する理由

多くの成人の夜尿症は、子供の頃からの夜尿が続いており、成人になっても夜間に尿意で目覚めることができない、もしくは目覚めてもトイレに間に合わないため、夜尿が続いてしまいます。さらに、年齢が上がるにつれて治療への意欲が低下し、忙しい日常(勉強やバイトなど)の中で病院へ行く時間を作ることが困難になります。

夜尿症の治療

未成年者の治療方針

中学生からの治療は、夜尿症への移行を防ぐため、日常生活での注意点を重点的に教育します。具体的には、アラーム装置などを用いて、尿意を感じた際に必ずトイレに行くよう指導し、濡れたパンツやシーツは自分で洗濯する習慣をつけさせます。

成人の治療方針

成人の場合、治療はより個別化されます。まず、病院を受診し、様々な合併症を排除した後、個々の状況に応じた治療計画を立てます。治療には抗利尿ホルモン製剤、抗コリン薬、睡眠脳波検査機器を用いた睡眠障害の評価、そして必要に応じて漢方薬を使用します。膀胱に対する薬として、近年は様々な効果のものが開発されており、特に、β3受容体拮抗剤(ベタニス、べオーバ)のような新薬は、成人の夜尿症治療において高い効果を示しており、多くの患者に改善をもたらしています。