おもらしについて
日中のおもらしの診断方法
1.日中のおもらしの診断方法
毎日の生活状況、特に日常のおしっこの回数やおもらしの頻度、尿モレの程度や量などについて詳しくお話を聞きます。ウンチの頻度(便秘の有無、便の硬さ、形状)もとても大切な情報です。
さらに、小さい頃から高熱がたびたび出ていないか、尿路感染症と診断されたことがないかも重要なポイントです。
一般的な診察に加えて、おなかの触診、背中とお尻の形の診察、尾てい骨の部分は膀胱に行く神経が集まっており皮膚の状態や形を細かくチェックしていきます。
これらの診察を行った後に以下の質問に対して詳しく状況を伺います。
トロント小児病院の問診票を一部改変
- 日中におしっこで下着が濡れることがある。
- 日中におしっこでズボンやスカートまでびっしょりと濡れることがある。
- トイレに行ったあとに、またすぐトイレに駆け込むことがある。
- もじもじとおしっこを我慢するような動作をすることがある。
- おしっこに行きたくなったら、がまんできないことがある。
診察所見や検査結果に異常がなく,さらに以上の問診で、がまんする様子とガマンできずにモレるが週に3回以上ある場合は、過活動膀胱の疑いがあります。
まずは,ご家庭でどの症状がお子さんにみられるか確認してみてください。ここからダウンロードできる、おもらしの問診票を利用すると簡単に症状がチェック出来ますので是非ご活用ください。
2.日中のおもらしに必要な検査
病院やクリニックで診断をすすめるには、最低限の検査は必要だと考えています。
もちろん、痛い検査や体に負担がかかる検査はなるべく避けて、子どもの負担を減らしています。
おもらしや尿漏れがあるお子さんには以下の検査を行います。
- 血液検査血液を採って、腎臓の機能に異常がないことや、おしっこを濃縮するホルモンに異常がないか、また貧血や肝臓機など全身の臓器に異常がないことを確かめます。
- 尿検査病院に来てもらってから尿を取ってもらい、ばい菌の感染がないか(膀胱炎がないか)、他に血尿や蛋白尿が出ていないかなどを調べます。
- お腹(背骨)のレントゲン写真は診察だけでは分からない、潜在性二分脊椎の有無や宿便の状態をお腹のレントゲン写真で確かめます。
- お腹のエコー検査は腎臓や膀胱のかたちに異常がないか、左右差がないか、排尿後に膀胱におしっこが残らないかなど,腎臓や膀胱,また他の腹部臓器に異常がないかなどを確かめる一番大切な検査です。
これらの基本検査は、他の病気の合併に伴うおもらしや尿漏れ、全身疾患に伴う排尿異常がないかを確かめるとても大切な検査なので、必ず行う必要があると考えています。
採血の時に少々の痛みを感じる以外は、苦痛を伴う検査はありせんので、小さなお子さんでも安心して検査することができます。
さらに病気の合併が疑われる時には,以下の精密検査が必要になる場合があります。
排尿時膀胱尿道造影(膀胱内圧測定を含む):これはレントゲンと造影剤(膀胱造影用)を用いて検査します。膀胱の形だけでなく膀胱が尿をためているあいだに収縮したりしないかどうか、膀胱がいっぱいになるときに尿が腎臓に逆流しないかどうか、尿道に狭窄がないかどうか、といった数々の情報が得られるきわめて有用な検査です。
ただしおしっこの出口の部分から、細い管(カテーテル)を入れる必要があり、いくら細くてやわらかい管をつかっても,お子さんはとても嫌がりますので、半年以上の治療でよくならない場合に対象となります。
昭和大学藤が丘病院小児科では、なるべく痛みがないように工夫を凝らした局所麻酔方法を用いています。お子さまを安心させるため、妊娠中でないお母様にはレントゲン予防衣を着ていただき、お子さんの傍らについてあげることで,お子さまの恐怖心を和らげるようにしています。検査を受ける前に、付き添いの希望を言っておくと、お子さまも安心して検査に望めると思います。